歯の処置

犬・猫の歯の処置

歯垢を取り除く。歯をきれいに磨く。歯肉炎や口内炎の部分にレーザーを照射する。歯根膿瘍の歯は抜歯する。乳歯が残存していれば抜歯する。などの処置を行います。

全身麻酔をかけて行います。予約が必要になります。
あらかじめ予約した上で、朝御飯を食べさせないで午前中に来院していただきます。動物の年齢、状態によっては予備検査を行った上で処置を行うかどうかを判断します。当日の夕方、退院できます。

うさぎの歯の処置

臼歯(奥歯)の伸びた部分を削ります。
全身麻酔をかけて行います。予約が必要になります。
うさぎは嘔吐することがほとんどないので当日も普通に食べさせて大丈夫です。うさぎの年齢、状態によっては予備検査を行います。
犬・猫に比べて、うさぎは麻酔の危険があります。歯の処置が必要かどうかの判断も重要です。

歯を抜いてしまってその後の生活に差し支えはないのか?

 よく聞かれる質問です。ご心配はごもっとだと思います。
 ヒトの歯の治療では、なるべく歯を抜かないように努力します。止むを得ず抜歯するときは、代わりの歯を入れて数や並びを揃えます。ヒトの場合は、歯は食べる上でも、話すときにも、そして美容の上でもとても大切なものだからです。
 対して動物の場合、歯は食いちぎるためのもので、消化の意味はあまりありません。基本的に丸呑みです。また、話す(吠える、鳴く)のにも必要ありません。美容上も、ドッグショーに出るなど稀なケースを除いて、歯は必要ありません。仮に歯が1本もなくなってしまっても、さほど問題になりません。そして、ヒトと動物が最も異なる点は、歯の治療が全身麻酔をかけないとできないことです。
 以上を総合的に考慮すると、歯周病のひどい歯を残しておいて、常に膿みを飲み込んでいるよりは、思い切って抜いてしまった方が動物の健康のためです。

全身麻酔が必要な歯の処置、心配です。それでもするべき?

 飼い主さんにとっても、我々獣医師にとっても常に悩まされる問いかけです。歯の処置が必要な仔は高齢の動物が多い。持病があったり、体力が衰えていたり、麻酔をかけることが心配な要素を数多く持っています。さらに歯の処置の目的が「治療」か「予防」かでも変わってきます。また、例えば避妊手術などは、1度してしまえば2度と行う必要はありませんが、歯垢は1度取り除いても再び付着するので、何年か後にまた処置する必要性が出てくる可能性があります。
 すべての医療行為に当てはまることですが、処置をする場合としない場合で、どちらが動物にとって危険か、負担か、よくないか、この比較でするしないを決定します。歯垢の蓄積、歯周病は動物の身体にとってもよくない。さらに、痛みが出てきた場合は、食べたり飲んだりすることに支障が出てきます。食事は毎日必ず行うことです。生きていくために必要なことです。そして何より、食事は、食べる動物自身にとっても、与える飼い主さんにとっても、最大の楽しみです。この食事が歯周病のために苦痛であるとしたら、何ともかわいそうなことです。
 もちろん動物の全身状態をチェックした上で、最終的に歯の処置をするかしないか、飼い主さんに決定していただきます。危険や負担はありますが、なるべくなら口の中の状態は良くしてあげた方が動物のためかと思います。